介護施設で使える心電図。
心臓が動く仕組み
心臓は、電気の刺激によって拡張・収縮を繰り返し常に一定のリズム保っています。洞結節(どうけっせつ)という部分が通常1分間に60~80回の電気刺激を発生させます。その電気信号は、心臓内部の刺激伝導系と呼ばれる刺激を伝える通路を通って心筋に伝え心臓を動かします。
心臓は
①洞結節
②刺激伝導
③心筋
この3 つの機能が正常に働かなければ正常な心拍が得られず不整脈となります。
不整脈の種類
不整脈は大きく分けて3種類に分類できます。細かく分類すると何十種類になるのでここでは省路します。
頻拍性不整脈
心拍数が150回/分以上になる不整脈。
徐脈性不整脈
心拍数が50回/分以下になる不整脈。
期外収縮不整脈
電気刺激が洞結節ではない場所から発生するため、脈が飛んだり乱れたりする不整脈。
不整脈を判断する
介護施設や在宅で先ほどの 3 つの分類の不整脈を判断する
もっとも簡単な方法は脈をとることです。
脈拍測定の方法
①人差指、中指・薬指を橈骨動脈に軽くあてる。
②秒針付き時計を見ながら原則1分間測定する。
そのほかには、携帯型心電計などがありますが、心電図を読む必要もあるし見れる部位も限られるので触診が一番良いです。
不整脈を確認した場合
頻拍性不整脈
頻脈の時は、労作時の頻脈でないかを確認するために、利用者さんをベッド寝かせるか椅子に座ってもらい安静にしてもらいます。安静後に、血圧・Spo2・体温を測定し痛みや胸部の不快感などの自覚症状の有無、頻脈の原因と考えられるような動作は無かったかを確認します。
最後に脈拍を測り直し、以下の対応をします。
【正常に戻った場合】
労作や興奮時による一時的な頻脈は、正常な反応です。しかし一時的な頻脈でも心不全の症状の可能性もあるため看護師に報告します。
【頻脈が継続している】
医師の診察が必要なためすぐに看護師に報告します。
【症状】
動機やめまい、胸の痛み、手足の冷感、失神など
除脈性不整脈
徐脈は、高齢者に多く見られます。しかし加齢だけではなく、狭心症や心筋梗塞、心筋炎、心筋症などの病気が原因でなったり内服薬によって起こることもあります。50回/分以下の除脈を確認した場合は以下の対応をします。
【症状を確認したら】
利用者さんにとって初めての余脈や、いつもより脈拍数が少ない場合はすぐに看護師に報告します。
【症状】
めまい、失神、過度の疲労感、息切れなど
期外収縮不整脈
不整脈の中でも、正常な拍動の間に時々不規則な拍動が現れるタイプが「期外収縮」です。期外収縮は、健康な人にも起こるので、ほとんどの場合、心配はいりません。しかし、心筋梗塞や心筋炎、心不全、心臓弁膜症などが原因で発生している可能性もあるため利用者さんの既往歴を確認して慎重に対応します。
【症状を確認したら】
看護師に報告し対応します。
【症状】
動機(ドキドキする)、脈が飛ぶ感じがする、胸が詰まる、胸に空気が入ったような感じがするなど
不整脈の治療方法
薬物治療
脈拍を整える抗不整脈薬が用いられます。また、血栓予防のために血液をさらさらにする抗凝固薬も用いられます。
カテーテルアブレーション治療
カテーテルという細い管を心臓の中まで入れて、心臓内の組織を焼灼(しょうしゃく)させて異常な電気信号を止めます。
ペースメーカー埋め込み
ペースメーカーは心臓の筋肉に電気信号を与える機械です。心臓内に導線を留置して人工的に心臓の拍動リズムを補助します。
埋め込み型除細動器(ICD)
埋め込み型除細動器(Implantable Cardioverter Defibrillator、ICD)は、心臓の異常なリズムや不整脈を検出し、必要に応じて治療する医療機器です。通常、心臓の異常な電気信号やリズムが検出された場合、ICDは電気ショックを送り、正常な心臓リズムを回復させます。
他にも治療方法がありますが、ここでは省略します。
まとめ
不整脈は、脈拍が早い、遅い、不規則になる状態です。
治療の必要がない不整脈もありますが、意識を失う、息切れ、動機など治療を必要な場合もありますので、利用者さんの普段の様子や既往歴や内服薬などを知っておくことでちょっとした変化に気付くことができ迅速な対応で利用者さんの命を救うことに繋がります。